研究開発

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クラウド技術とIoTが創る未来 ~Raspberry PiとAWSで試すIoT活用の可能性~

はじめに

本シリーズでは、「クラウド技術とIoTが創る未来」をテーマに、IoTデバイスとクラウドサービスの連携がもたらす可能性を探ります。

 

新しい挑戦

弊社は、AWSを活用したクラウド環境の構築と運用において豊富な実績を持っています。

しかし、IoT分野はまだ挑戦を始めたばかりです。

本シリーズではクラウド技術とIoTの可能性を探りながら、新しい挑戦を通じてさらなる成長と価値創造を目指します。

 

4回連載のシリーズ企画

全4回の連載を通じて、AWSとRaspberry Piを活用した具体的なIoTサンプルの構築方法やその応用例を紹介します。

第1回では、クラウド技術とIoTの概要や可能性を解説し、本シリーズ全体の流れを説明します。

 

第1回記事

クラウド技術とIoTの関係

クラウド技術とIoTは、現代のデジタル社会を支える重要な要素です。
IoTデバイスは、センサーで情報を集めたり、機械を動かす装置として現実世界とデジタルをつなぐ役割を果たします。
そして、クラウドはその膨大なデータを保存、処理、分析する役割を担います。
クラウドのスケーラビリティ(規模の柔軟性)やAIとの連携により、IoTデバイスは単なるデータ収集装置から、価値を生み出す中心的な役割を担うようになりました。

この連携によって、より効率的で機能性の高い仕組みが作れるようになり、多くの産業に新しい風を吹き込んでいます。
この技術は、スマート家電のように身近なところでも利用され、私たちの暮らしを便利にしています。

 

IoTとは

IoT(Internet of Things)とは、「モノのインターネット」とも訳され、物理的なデバイスやセンサーがインターネットを通じて情報をやり取りする仕組みを指します。
これにより、従来の「単独で機能するデバイス」がネットワークで繋がり、遠隔監視、制御、自動化が実現されます。
また、かつては人の目で確認しなければならなかったことや、人の手で直接操作しなければならなかったことを、IoTデバイスが代わりに行うことが可能です。
それだけでなく、その精度や効率は人の手による作業を大きく上回る場合もあります。
スマート家電や産業用機械、自動運転車まで、IoTは多岐にわたる分野で利用されています。
ネットワーク化によって、データの活用範囲が広がり、新たなサービスやビジネスモデルを創出しています。

 

IoTの可能性

IoTの可能性は、単なる機器間通信を超え、社会全体に広がっています。
スマートホームではエネルギー効率の向上、製造業では予知保全、農業では精密農業が進展。
さらに医療分野ではリモートモニタリングによる患者ケアの質向上が期待されています。

 

 


また、IoTとクラウドを組み合わせることで、収集したデータをリアルタイムに分析し、異常を即座に検知・対応するシステムが構築可能です。
このようにIoTは、私たちの生活や産業に無限の可能性をもたらします。


 

AWSとIoTの親和性

AWSは、IoTデバイスとの高い親和性を持つクラウドサービスを提供しています。
具体的には、AWS IoT Coreを中心に、数百万台のデバイスと安全でスケーラブル(規模に応じて柔軟)に接続することができることや、IoTデバイスから送信されたデータを、AWS LambdaやAmazon S3などのサービスで処理・保存し、さらにAmazon SageMakerを用いた機械学習による分析も可能であること、などが挙げられます。


また、AWSはセキュリティ機能も充実しており、デバイス認証や通信の暗号化を容易に実現します。
これにより、迅速かつ安全なIoTソリューションの開発が可能です。

 

Raspberry Piとは

Raspberry Piは、イギリスで開発された手のひらサイズの小型コンピュータです。
低コストでありながら高い性能を持ち、教育現場やプロトタイピング、IoT開発まで幅広い用途で活用されています。


特に、今回使用する「Raspberry Pi Pico W」は、小型・省電力であり、無線通信機能を備えたモデルです。
センサーを接続してデータを収集し、クラウドと連携することで、手軽にIoTシステムの構築が可能です。
初心者からプロまで使える柔軟性が、多くの支持を集めています。

 

クラウド×IoTのサンプルとして取り組む仕組みの概要

本シリーズでは、クラウド技術とIoTの可能性を具体的に示すために、AWSとRaspberry Piを活用したサンプルを構築します。
このサンプルでは、IoTデバイスとして「Raspberry Pi Pico W」を使用し、家庭の冷蔵庫を対象にデータを収集します。
具体的には、冷蔵庫の開け閉め回数と時間を記録し、そのデータをAWSに送信。
クラウド上で閲覧や分析を行い、異常な開閉頻度が検知された場合にアラートを出す仕組みを構築します。
 

この実例を通じて、IoTの実用性やクラウドとの連携の価値を具体的に体感していただければと思います。

サンプルの構想(イメージ)

 

次回は・・・

IoTデバイスの基本構成とAWS側で利用するサービスについて、より詳しく掲載していきます。